ハンターハンター(虫編)を観て

「これは自己愛から自尊心へと成長する物語だわ。」

私の妻が言いました。

私はADHDだったので、子供の頃から悩みが多く

折々に漫画やアニメに助けられてきました。

私は漫画やアニメに詳しい人間ではありませんが

漫画やアニメがずっと大好きだったのです。

そんなアラカンの私の思う漫画の最高傑作の一つが

ハンターハンター(虫編)でした。

そのアニメがNetfrixのオススメに出てきたので

妻と毎日夕食時にプロジェクターで楽しんだのです。

数日掛けて観終わった後に妻が言ったのが冒頭の

「これは自己愛から自尊心へと成長する物語だわ。」

だったのです。

妻はあまり漫画やアニメにのめり込むタイプではありません。

大体私に付き合って観てくれているのです。

正直、妻がこんなに感銘を受けるとは予想していませんでした。

しかもその感動をこのように的確に言語化してくれるとは思いもしませんでした。

私は漫画のハンターハンター(虫編)に感動し大好きでしたが

何がどう素晴らしいのかサッパリ言語化出来ていませんでした。

漫画の金字塔デビルマンへのオマージュであり鎮魂歌なのではないか?

とは思っていたのですが

どういう切り口でデビルマンの痛みを癒そうと目論み、ある意味成し遂げたのか?

良く分かってはいませんでした。

自己愛とは何でしょうか?

自己愛には

健全な自己愛

病的な自己愛

があると考えられています。

妻がこの時言った自己愛は病的な自己愛の意味合いが強そうですね。

病的な自己愛とは何か?

病的な自己愛、特に自己愛性パーソナリティ障害(NPD)は、自己評価の過剰、他者への共感の欠如、そして賞賛を求める強い欲求が特徴的だそうです。この障害のメカニズムは、複雑でさまざまな要因が絡み合っているそうです。

・病的な自己愛のメカニズム

  1. 発達的要因
    病的な自己愛は、主に幼少期の養育環境に起因すると考えられています。以下のような要因が影響を与えることがあると言われています。
    ・過度な賞賛または批判: 子供が過度に称賛されると、自己評価が歪み、「特別な存在である」という誇大な自己像が形成されることがあります。一方で、過度な批判を受けると、自己愛を守るために他者を見下す傾向が強まります。
    ・不安定な愛情: 愛着障害など親からの愛情が不安定である場合、子供は他者からの承認を求めるようになり、自己愛が病的な形で発展することがあります。これは、他者の評価に依存する脆弱な自尊心を形成します。
  2. 認知的要因
    病的な自己愛は、特定の認知の歪みとも関連しています。これには以下のような特徴があります:
    ・誇大な自己評価: 自分の能力や業績を過大評価し、他者を軽視することで自己の優越感を維持します。これは、他者からの賞賛を求める一方で、批判に対して非常に敏感であることから来ています。
    ・共感の欠如: 他者の感情やニーズを理解する能力が欠如しており、他者を利用する傾向があります。これにより、対人関係が困難になり、孤立感を深めることがあります。
  3. 生物学的要因
    病的な自己愛には、遺伝的要因や神経生物学的な要因も関与している可能性があります。研究によると、自己愛性パーソナリティ障害は、特定の遺伝的素因を持つ人々に多く見られることが示唆されています。
  4. 社会的要因
    社会的な環境や文化も、病的な自己愛の発展に寄与する要因です。特に、競争が激しい社会や、個人主義が強調される文化では、自己愛が強化される傾向があります。これにより、他者との比較や競争が自己評価に影響を与え、病的な自己愛を助長することがあります。

・病的な自己愛の影響
病的な自己愛は、個人の精神的健康や対人関係に深刻な影響を及ぼします。自己愛性パーソナリティ障害の人々は、他者との関係が不安定で、しばしば対人トラブルを引き起こします。また、自己評価が脆弱であるため、失敗や批判に対して過剰に反応し、うつ病や不安障害を併発することもあります。自己愛性パーソナリティ障害の人々は、膨弱な自己評価を埋めるため、自己陶酔的な供給というモノを常に死ぬほど渇望します。自己陶酔的な供給にはポジティブな自己陶酔的な供給とネガティブな自己陶酔的な供給があります。ポジティブな自己陶酔的な供給とは、権威に特別扱いしてもらう事で得られます。これを得るためには過剰な努力も惜しみませんので、自己愛性パーソナリティ障害の人々にはいわゆる成功者が多いと言われています。ネガティブな自己陶酔的な供給とは、エンパス(共感力の高い人)をターゲットにし、ガスライティングなどでバレないように巧妙に心理的虐待をし、周囲も巻き込んでターゲットを貶め、ターゲットを精神障害や自殺などに追い込む事で得られます。自己愛性パーソナリティ障害はありふれた人格障害ですが、極めて危険な精神疾患でもありダークパーソナリティの一つです。

このように、病的な自己愛は多くの要因が絡み合って形成され、個人の心理的健康や社会的適応に大きな影響を与える複雑な現象です。治療には、認知行動療法や精神療法が用いられ、自己認識の改善や対人関係のスキル向上が目指されます。

自尊心とは何か?

自尊心とは、自分自身の価値や存在を肯定的に評価し、尊重する感情や態度を指します。これは、自己の存在や能力を認識し、他者と比較することなく、自分自身を大切にすることに関連しています。自尊心は、心理的健康や人間関係において重要な役割を果たします。

自尊心の特徴
・自己受容: 自尊心が高い人は、自分の長所や短所を受け入れ、ありのままの自分を愛することができます。これは、自己評価が他者の評価に依存しないことを意味します。
・安定した自己評価: 自尊心が高いと、他者からの評価や意見に左右されにくく、自分自身の価値をしっかりと認識することができます。たとえ他者からの評価が低くても、自分の存在を肯定できる力があります。
・健康的な人間関係: 自尊心が高い人は、他者を尊重し、良好な人間関係を築くことができる傾向があります。自分を大切にすることで、他者の価値も認めることができるからです。

自尊心の重要性
自尊心は、心理的健康や幸福感に大きな影響を与えます。自尊心が高いと、ストレスや困難な状況に対しても柔軟に対処できる能力が高まり、精神的な安定を保つことができます。また、良好な人間関係を築くための基盤ともなり、社会的なつながりを強化する要素となります。
このように、自尊心は自己理解や人間関係において非常に重要な役割を果たしており、健全な自尊心を育むことは、個人の成長や幸福に寄与します。

自尊心の種類
自尊心は一様ではなく、その程度や質によって異なる影響を及ぼします。主に以下の3つの種類があります:
・高い自尊心: 自分自身に対する現実的で肯定的な評価に基づいています。自己受容ができ、他者も尊重する傾向があります。
・低い自尊心: 自分自身に対する否定的な評価や価値観を特徴とし、自己批判が強く、他者の評価に依存する傾向があります。
・過剰な自尊心: 自分自身に対する非現実的に高い評価や、他者を軽視する態度を特徴とします。ナルシシズムと関連付けられることがあります。

””自尊心はどのように形成されるのか?””

自尊心は、個人が自分自身をどのように評価し、受け入れるかに関わる重要な心理的要素です。その形成には、さまざまな要因が影響を与えます。以下に、自尊心がどのように形成されるのかを詳しく説明します。
自尊心の形成要因

  1. 幼少期の経験
    自尊心の基盤は、幼少期の経験に大きく依存しています。特に、親や養育者との関係が重要です。以下のような要因が影響を与えます:
    ・愛情深い養育: 愛情を持って育てられた子供は、自己価値感を高めやすいです。支持的な環境で育つことで、自己受容が促進されます。
    ・成功体験: 幼少期に適度な挑戦を経験し、それを成功させることで自信が育まれます。成功体験は、自己効力感を高め、自尊心の向上に寄与します。
    ・失敗への対応: 失敗を学びの機会として捉える環境は、高い自尊心の発達を促します。失敗を恐れず挑戦する姿勢が重要です。
  2. 社会的環境
    成長過程や成人後の社会的環境も、自尊心に重要な影響を及ぼします。具体的には以下のような要因があります:
    ・教育環境: 支持的な教育環境は、生徒の自尊心を高める要因となります。教師や友人からの肯定的なフィードバックが重要です。
    ・職場の雰囲気: 公正で尊重される職場環境は、従業員の自尊心を向上させます。職場での評価や承認が自尊心に影響を与えます。
    ・社会的比較: 他者との比較は自尊心に影響を与えます。過度の比較は有害な場合があり、自己評価を低下させることがあります。
  3. 個人の成功と失敗
    個人が経験する成功や失敗は、自尊心に直接的な影響を与えます。目標の達成や挑戦の成功は自尊心を高める一方、繰り返される失敗は自尊心を低下させる可能性があります。
  4. 他者からのフィードバック
    他者からのフィードバック、特に重要な他者(家族、友人、上司など)からの評価は、自尊心に大きな影響を与えます。肯定的なフィードバックは自尊心を高め、否定的なフィードバックは自尊心を低下させる可能性があります。

    まとめ
    自尊心は、幼少期の経験、社会的環境、個人の成功と失敗、他者からのフィードバックなど、さまざまな要因によって形成されます。これらの要因が相互に作用し、個人の自己評価や自己受容に影響を与えます。自尊心を高めるためには、ポジティブな経験を積み重ね、支持的な環境を整えることが重要です。

””自尊心を高めるための具体的な方法とは?””

自尊心を高めるためには、さまざまな具体的な方法があるようです。以下に、実践的なアプローチをいくつか紹介します。

1.成功体験の積み重ね
過去の成功体験を振り返り、自分の能力を再確認することが自尊心を高める助けになります。
・成功体験を書き出す: 過去の成功や努力を記録し、自分の成長を実感することが重要です。
・リフレーミング: 失敗や困難な経験をポジティブに解釈し、学びの機会として捉えることが自尊心の向上につながります。
これらの方法を日常生活に取り入れることで、自尊心を高め、より充実した人生を送ることができるでしょう。自尊心の向上は一朝一夕には達成できませんが、継続的な努力と適切なアプローチによって、自己理解を深め、自己受容を実践することが重要です。

2.自己認識の向上
自己認識を深めることは、自尊心を育む基盤となります。自分の長所や短所を理解し、現実的な自己評価を行うことが重要です。
・日記をつける: 日々の出来事や感情を記録し、自分を振り返る時間を持つことで、自己理解が深まります。
・フィードバックを求める: 信頼できる他者からの意見を聞くことで、自分の特性や行動を客観的に理解できます。

3.ポジティブな自己対話
内なる声、つまり自己対話は自尊心に大きな影響を与えます。否定的な自己対話をポジティブに変えることが重要です。
・自己肯定のアファメーション: 自分の長所や成功を思い出し、肯定的な言葉で自分を励ますことが効果的です。
・認知の再構成: 否定的な思考を認識し、より建設的な解釈に置き換える練習をします。

4.目標設定と達成
適切な目標を設定し、それを達成することは自尊心を高める効果的な方法です。
・SMART目標の設定: 具体的で測定可能、達成可能な目標を設定し、段階的に進めることで成功体験を積み重ねます。
・進捗の可視化: 目標に向けた進捗を記録し、達成感を味わうことが自信につながります。

5.他者との健全な関係構築
健全な対人関係は、自尊心の維持と向上に重要な役割を果たします。
・境界線の設定: 自己と他者の境界を明確にし、自分を大切にすることが重要です。
・共感力の向上: 他者の感情や視点を理解し、尊重することで、より良好な人間関係を築けます。

6.自己受容の実践
自己受容は、高い自尊心の核心部分です。自分の長所も短所も含めて、ありのままの自己を受け入れることが重要です。
・完璧主義からの解放: 人間は不完全であることを受け入れ、成長の過程を大切にします。
・強みの認識と活用: 自分の長所や強みを認識し、それを積極的に活用することが自信につながります。

自尊心と自己愛の違い

自尊心は自己愛と混同されることがありますが、両者には明確な違いがあります:
・自己愛: 自己愛は、自己の価値を過剰に評価し、他者との比較を通じて自分を特別な存在と見なす傾向があります。これは、他者からの賞賛を強く求めることに繋がることがあります。
・自尊心: 自尊心は、他者との比較を必要とせず、自分自身の存在を無条件に受け入れることができる感情です。自尊心が高い人は、他者の評価に依存せず、自分の価値を認識することができます。

デビルマンも愛の物語です。

デビルマンでは

愛によく似た、執着や自己犠牲や集団心理

からの

残酷で絶望的なしかし詩のように美しい結末

を描くことで

「本当の愛とは何だ?」

という質問を少年読者達に投げかけました。

と私は勝手に受け取っていました。

そして

ハンターハンター(虫編)はデビルマンへの返歌だ。

と私は感じたのです。

ハンターハンター(虫編)では様々な登場人物(特に虫側)の多くが

自己愛から自尊心へと成長する過程が丁寧に描かれている。

皮カムリの万能感から自立への成長過程が描かれている。

傲慢から貢献感への成長過程が描かれている。

本当の愛が描かれている。

私は妻の言葉で気付かされたのです。

アドラーは言いました。

「愛とは技術である。」

と。

「愛とは自立支援の技術である。」

と。

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