腸能力については、腸が持つ多様な機能や役割が重要です。腸は消化器系の一部として、栄養素の吸収や免疫機能に寄与しています。以下に、腸能力に関する主なポイントをまとめます。
腸の主な機能
・栄養素の吸収: 腸は食物から栄養素を吸収する主要な器官です。特に小腸は、消化された食物からビタミン、ミネラル、炭水化物、脂肪、タンパク質を吸収します。小腸は三つの部分(十二指腸、空腸、回腸)から構成され、それぞれが特定の役割を果たしているそうです。
・免疫機能: 腸内には多くの免疫細胞が存在し、体を病原菌や有害物質から守る役割を果たしているそうです。腸内細菌は免疫系のバランスを整えるのに重要であり、腸内フローラの健康が全体的な健康に寄与します。体内の免疫細胞の60%以上が腸管(小腸と大腸を合わせた部分)に存在しているので、腸内環境の悪化は免疫力の低下につながり、風邪や病気にかかりやすくなるようです。免疫力を高めるためにも腸内環境を整えることが大切でしょう。大腸には小腸ほど免疫細胞は無いそうですが、たくさんの腸内細菌がすんでいると言われます。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種に分けられ「2:1:7」の割合を維持できると腸の免疫細胞が活性化すると言われています。
腸内細菌を増やす方法
・乳酸菌や納豆菌などの「プロバイオティクス食品」をとること
・そのエサとなる「食物繊維」をとることです。
さらに、下記の「免疫力を高める効果のある栄養素」を意識しながら、バランスの取れた食事を心掛けましょう。
また、腸の働きをコントロールしているのは自律神経です。自律神経の働きを整えるには、規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動が重要です。歩くことは腸の働きを良くするので積極的にウォーキングなどを取り入れましょう。
・消化の調整: 腸は消化過程を調整するために、腸の運動(ぜん動運動)を通じて食物を移動させます。この運動は、食物を消化酵素と混ぜ合わせ、栄養素の吸収を助けます。
腸内細菌の重要性
腸内には数兆の細菌が生息しており、これらは腸の健康に大きな影響を与えます。腸内細菌は以下のような役割を果たします。
・栄養素の生成: 一部の腸内細菌は短鎖脂肪酸などの有益な物質を生成し、これが腸の健康を促進します。
・病原菌の抑制: 健康な腸内フローラは、有害な病原菌の増殖を抑える働きがあります。これにより、感染症のリスクが低下します。
・精神的健康との関連: 腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内細菌が脳の機能や感情に影響を与えることが研究で示されています。腸内環境が整うことで、ストレスや不安の軽減にも寄与する可能性があります。緊張感が高まるシーンでお腹が痛くなる方、ストレスがかかると下痢になってしまう方など、心はまだ落ち着いていると思っても、先にお腹が反応してしまうことも、しばしば見受けられます。私がスペイン料理のコックだった頃セントラルキッチンに配属されたことがありました。接客はせず1日中仕込みをしている部署です。ここの責任者は人柄も良く仕事のできる上司でしたが頻繫にトイレに籠ってしまう方でした。ちょっとしたストレスでトイレ(大)に行きたくなってしまうそうです。
「過敏性腸症候群」と病院で診断されたそうです。私はこの時初めて知りましたが割と悩んでいる人は多いらしいです。一般的に大腸内視鏡検査を受けても異常は見つからない場合が多く、市販薬でなんとか対処している人が多いそうです。
腸は、脳よりも早く危機を察知し、身体に合図を送ってくれているのだと考えられています。腸は「第2の脳」と例えられることもありますが、脳が気づいていないストレスや異変を感知しているなら、脳以上の器官と言えるかもしれません。
実際、受精卵から分化していく際、脳よりも心臓よりも、まず腸が先に形成されていくそうです。身体は腸から作られるのです。受精卵の外側から腸が形成され、腸から口と肛門が形成されます。肝臓、そして肺が形成され、脳が形成されるのです。
腸の重要性を調べるために、腸内が無細菌のマウスの脳を調べるたところ、学習能力は少なく、無気力で、思考が上手く働いていなかった、と言われています。
腸内細菌が常在していないと、なぜか脳のあらゆる機能が成長しないそうです。進化過程で脳が無い生物は存在しますが、腸のない生物は存在しません。クラゲやイソギンチャクも腸はありますが、脳は無いのです。
生き物の進化においても、まず腸が形成されます。その周りに神経系が形成され、中枢神経系である脳が形成されるのはその後です。腸には、迷走神経という太くて大きな自律神経がありますが、その神経繊維の大部分はなんと、腸から脳へと情報を運んでいることが分かって来たのです。
感情を調節する物質は腸で作られる
・ドーパミン
・ノルアドレナリン
・セロトニン
などの、感情を支配する代表的な脳内神経伝達物質と呼ばれるものは、その多くが
なんと腸で作られるそうです。
特に、ドーパミンやノルアドレナリンのコントロールを行うセロトニンは、腸内細菌との協同作業で作られるそうです。体内のセロトニンの90%は腸に存在し、腸管の蠕動運動に関与しているため、分泌が多ければ下痢になってしまい、少なければ便秘になってしまいます。
脳内に存在するセロトニンは全体の2%のみだと言われています。うつ病やパニック障害の人は、脳内のセロトニンがさらに少ないという説もあります。「幸せホルモン」とも言われるセロトニンが増えれば、心のバランスが整い精神的にも安定して行くと考えられます。そのためにも、腸内環境を整えておくことが肝腎でしょう。
腸の状態が脳の機能に影響を与え、脳(心)の状態が腸の機能に影響を与える。この「脳腸相関」は、私がイメージしていたよりも遥かに密接なモノだったようです。
まとめ
腸能力は、栄養素の吸収、免疫機能の調整、消化の促進など、多岐にわたります。腸内細菌の健康を保つことが、全体的な健康や免疫力の向上に寄与するため、食事や生活習慣に注意を払うことが重要です。腸の健康を維持するためには、食物繊維を豊富に含む食品やプロバイオティクスを摂取することが推奨されます。

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