発達障害について

「私はADHDです。」

漠然とそう感じていました・・・

子供の頃は

勉強は授業を聞くだけで自主勉は全くしなくても、出来る方でした。

とは言え兄や親友の一人がIQ180でしたので

長いこと自分は普通の人だと思っていたのです。

私が

(自分は普通ではないのではないか?)

と直感したのは

確か高校の文化祭の頃でした。

私のクラスはオリジナル脚本の学園サスペンス映画を撮ったのです。

授業中シーンのエキストラで映った自分の後ろ姿にギョッとしました。

「俺、いつもあんな感じ?」

親しい友人達に訊いてみました。

「あんな感じって?」

「い、いや、いつもあんなに身体を揺さぶってるの?」

「ああそうそう。」

「・・・」

軽くショックを受けました。

みんな真っ直ぐ安定して座っている中

私の後ろ姿だけ異様なほど身体を揺すっていたのです。

自覚は全く無かったのです。

高校の学年が進むにつれて授業についていけなくなりました。

当然大学受験は失敗。

私は浪人中に覚えた調理に夢中になり調理師になりました。

新奇性の強い性格だったので当時ドマイナーだったスペイン料理に進みました。

周りの先輩方はヤンキー上がりで中卒から調理に従事している人ばかりでした。

それなりに進学校だった高校を卒業していた私は

(この中では自分が一番頭が良いだろう。)

などと思い込んでいたのです。

一番bakaでした。

私は料理が好きで人一倍勉強熱心でしたが

料理人というお仕事は出来ない部類だったのです。

恐らく仕事全般が出来ないのだろうと思いました。

どうにか改善できないか?

心や脳を色々と調べているうちに

(自分はワーキングメモリーが小さいのだ。)

と気付きました。

またコミュニケーション能力も先輩たちに比べ大分幼稚な気がしていました。

幸い上司や先輩や同僚や部下に恵まれなんとかシェフにはなれTVにも取材されましたが

(俺は仕事できねーな。)

という感覚はずっとつきまといました。

20年ほどしてから””アスペルガー””という言葉を知り

(自分は多分アスペルガーなんだろうな。)

と思っていました。

しばらくのち””ADHD””という言葉を知りました。

ADHDは注意欠陥多動性障害と訳されます。

・注意散漫

・多動性

という2大特徴を持ちます。

(自分はアスペルガーとADHDどっちだろうか?)

啓蒙本を読んでもアスペルガーとADHD両者の違いは素人の私には良く分からず

その内アスペルガーという言葉はあまり聞かなくなり

私の中で

(自分はADHDなんだろうな。)

と漠然と思っていたのです。

しかしADHDというだけでは不十分なところも自分には沢山あるようにも感じていました。

実はADHD単体は少ないのだそうです。

多くの場合ADHDはASDと合併するようです。

ASDは自閉スペクトラム症と訳されアスペルガーの事の様です。

コミュニケーションが苦手という問題が特徴です。

(なるほどね。合併症か。)

と納得致しました。

合併症なので今ではザックリと

(自分は発達障害だ。)

と捉えています。

自分は心理学も脳科学も素人の料理人なので

以下は

自分の発達障害を理解するために自分なりにシンプルに纏めた素人考えです。

私は発達障害の根本にあるのはワーキングメモリーの小ささかと考えています。

ワーキングメモリーとは脳の作業台です。

パソコンのバッファメモリーみたいなものです。

短期記憶とも言います。

調理でも作業台は大きいほど作業がしやすくはかどります。

レストランで長期記憶にあたるのは食材保管庫です。

食材保管庫から食材を持って来て一時的に作業台に仮置きし

こねたり切ったり下味付けたりの作業をします。

作業の基本はBOXINGと言って作業台の上に3つの箱をイメージします。

左の箱は加工前の食材仮置き場

真ん中の箱は加工作業スペース

右の箱は加工後の食材置き場

です。

左から右へ流れ作業にします。

この時、作業台が小さいと

食材保管庫から持って来た食材を一時的に作業台に仮置きする事があまりできません。

食材をほんの僅かしか仮置きできません。

少し無理目に持って来て仮置きして作業してみると

作業中にぶつかって

左右の食材を落としてしまったり

左右の食材をぐちゃぐちゃにしてしまったりします。

十分に気を付けて作業するととても遅くなります。

狭いととても作業しづらいのです。

狭いので少量づつ仮置きするわけですが

結局頻繫に食材の移動をするしかないのでロスタイムがとても大きくなってしまうのです。

ワーキングメモリーも同じで

大きければ情報空間の作業がしやすく速いのです。

小さければ情報空間の作業が当然しづらく遅いのです。

発達障害の大きな特徴に

中枢性結合の弱さ

というのがあるそうです。

中枢性結合とは抽象化能力の事の様です。

別々の情報を纏め上げて、応用が利く汎用性の高い知識や知恵に変える能力です。

脳内にある内部モデルのうち

低次モデルは体調や記憶から具体的に出来ていますが

中枢性結合は、具体度の高い低次モデルから汎用性の高い高次モデルを創り出す能力

とも言えます。

・パグ・チワワ・フレンチブルドッグ・ドーベルマン・セントバーナード・etc

を一つに纏め上げ抽象化すると

・犬

という抽象概念になる

という様な能力で

発達障害はそれが弱いそうです。

これはAIのディープラーニングそのものですよね。

つまり

一見抽象化は簡略化に似ていますが

抽象化は膨大なニューラルネットワークの層が必要な大変に高度な情報処理作業です。

AIの歴史が50年ぐらい掛かってようやく到達した境地です。

さぞ大きな作業台が要ることでしょう。

脳機能科学者の苫米地英人氏は

「IQの高さとは抽象度の高さである。」

と仰られています。

また発達障害は中枢性結合が弱いため

・昨日の自分・1時間前の自分・1分前の自分・1秒前の自分・今この瞬間の自分・etc

を一つに纏め上げ抽象化し

・自分

という抽象概念にする事が出来ないそうです。

つまり発達障害はどうやら自分のイメージが一つに定まっていないようなのです。

人は他者理解する時

自分を基準に他者を分析して理解すると言われています。

(自分より綺麗)とか(自分より頭の回転が速い)とか(自分より切れやすい)とかですね。

ところが発達障害は自分のイメージが定まっていないのでその基準がなく

だから発達障害は他者理解が上手く出来ない。

だからコミュニケーション障害がある。

という事だと考えられています。

また発達障害の特徴の一つに

遂行機能障害

というのもあると言われています。

応用が利かないので

経験値が高くなってさえも

新局面には全く対応できない。

新人と同じになってしまう。

という障害です。

これはもう抽象化能力が低い事の弊害そのものですよね。

中枢性結合が弱いことから起きる障害と言えるでしょう。

作業台が狭いため

情報をこぼしたりぐちゃぐちゃにしてしまったりして

情報の混乱

が起こります。

脳の大統一理論とも呼ばれる自由エネルギー原理によると

脳は能動的推論をしていると考えられています。

脳内モデル(予測)

感覚入力

の誤差(予測誤差)

を常に最小化するように脳内モデル(予測)を上書き更新していくそうです。

脳内モデル(予測)は

数学的には高次関数(状態確率関数)だと考えられるでしょう。

認知心理学では世界のすべては関数(LISP)で表現されていました。

生物学的にはニューラルネットワーク(脳神経網)だと考えられます。

関数とニューラルネットワークは同値であることが証明されているそうです。

認知心理学やAI研究ではかつて関数(LISP)が主流でしたが

学習能力を説明できなかったこともあり

現在ではニューラルネットワークによる機械学習が主流の様で

ディープラーニングや生成AIで大きな成果を生み出しています。

とはいえ

知能とは関数であり

学習とはこの関数のパラメータを最適化する事だ

と考えられているようです。

関数とニューラルネットワークは同値ですからね。

脳内モデルには

具体度の高い(=抽象度の低い)低次モデルから、抽象度の高い高次モデルまである

と考えられています。

低次モデルから高次モデルが創られ

高次モデルから低次モデルが創られるそうです。

それが応用力ですね。

発達障害は

元になる低次モデルから汎用性の高い高次モデルを生成するのが苦手なようです。

従って高次モデルから別の低次モデルを生成するのも当然困難になるわけです。

高次モデルが破綻しているわけですから。

結果

・対人不安(相手の感情モデルを上手く生成出来ない。)

・不器用(成功イメージモデルを上手く生成出来ない。)

・感覚過敏(低次モデルを上手く生成出来ないので感覚入力が勝り過ぎてしまう。)

など

の色々な問題が生じるそうです。

そのため

発達障害は自分なりに情報を扱いやすくします。

それが

・情報量の自己制限

・ルール化

・儀式化(ルーティン化)

などです。

これらは

情報の偏り

を生み、良くも悪くも

こだわり

の元になります。

また周囲を巻き込むと

暴君化(情報統制し、自分勝手なルール”罪と罰”を押し付け、それを型にして繰り返すわけです。)

したりもすると言われています。

二次災害三次災害と拡大していくわけです。

えらいこっちゃですが・・・

要するに

発達障害の諸問題はほぼほぼ全て

””定型発達よりワーキングメモリーが小さい””という問題

から来ていると考えられるでしょう。

従って

ワーキングメモリーの拡張機能としてのノート

を常に持ち歩くと万事解決!!

とまでは行かなくても色々がすこぶる改善されるのではないでしょうか?

少なくとも私自身はノートとノート術により大分改善されたと感じています。

ノート術(ノーテーション)は

・マインドマップ

・苫米地ノート(というノート術)

などがおすすめです。

特に苫米地ノートは抽象化に特化したノート術です。

中枢性結合の弱さから創られた破綻した高次モデルを捨て

健全で完成度の高い高次モデルを一から構築するのに大変強力なツールになります。

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