愛着障害を治したいなら

愛着は乳幼児期に母子間で育むモノだけと考えられがちですがそれ以降にも形成できる挽回可能なモノだそうです。従って基本的には愛着障害は治せる可能性のある回復可能な障害と言えるでしょう。

愛着障害は、長い時間をかけて少しずつ改善していくことが出来ると言われています。治療には、自分自身と向き合い、安心できる居場所(安全基地)をつくることが大切と言われています。

【安全基地の作り方】

  • 友人や恋人、パートナーなどとの関係性を重視する
  • 職場など対等な人間関係をつくる
  • 自分の存在価値が認められるような環境に身を置く
  • 自分の状態を正確に把握する
  • 心療内科や精神科の医師、カウンセラーに相談する
  • 内的ワーキングモデルを上書き更新する(内なる安全基地を作り直す)

【青年期以降の愛着障害の治療法】

・「愛着」は回復できると知る

・安心安全な環境を整える

*ストレスフルな環境から離れる

*パートナーや家族とはほどよい距離感で支え合う~周囲のゆるやかな人間関係から絆をはぐくむ

*睡眠、食事をしっかりと取る

*有酸素運動(運動療法)に取り組む

・養育者(母親)との関係に過度にこだわらない

・過去へのとらわれを解消する~「内的ワーキングモデル」を更新する

・トラウマを解消する

・内的ワーキングモデルとはなにか? ~心の中の”安全基地”

 成人は、愛着を内面化していて、愛着対象がいなくても心の中でシミュレーションすることで安心を得ています。それを「内的ワーキングモデル」といいます。愛着に関する内的ワーキングモデルとは、自分自身が愛されるに足る人物ととらえる自己イメージと、自分は愛着対象から愛される、助けてもらえるという信頼によって成り立っています。心の中の安全基地を「内的ワーキングモデル」といいます。愛着障害はこの心の中の安全基地「内的ワーキングモデル」が未完成、壊れている、不具合がある、社会に適応出来ていない、などで実生活に支障をきたしていると言えるでしょう。

・過去を客観的に吟味し、意味づけしなおす

 「成人期以降の愛着の安定性とは、過去や現在の親子関係が情愛に満ちた温かいものであり続け、愛着に関連する外傷的経験がない、ということでは決してなく、肯定的なことも否定的なことも過去の事実として自由に想起でき、葛藤のない感情状態で率直に語ることができ、意味ある自分の歴史として客観的に吟味できること、人生における“愛着”の意義に深い価値をおけること、であるといえる。」(久保田まり「アタッチメントの研究」(川島書店)

・自分の中のわだかまりを解消する

 私たちは、タイムマシンに乗って過去に戻れるわけではありません。また、親子の関係の改善も相手あってのことで、セラピーの事例で感動的に語られる親子和解のシチュエーションが常に起きるわけでもありません。期待するような和解を示すことがどうしても難しい親がいることも事実です。それよりも、自分自身の中で、わだかまりに新たな意味づけを行うことでわだかまりを解消する事が、愛着の安定を取り戻す近道であることが分かります。

 わだかまりを解消し、自己イメージと自分自身は愛されるという信頼を回復できれば、親との和解や生き直しなど難しいことを行わなくても、愛着の安定を取り戻すことが期待できます。

【子どもの愛着障害の治療法】

  • 家族が子どもとの安定した信頼関係を築く
  • 保育サービスや専門機関のサポートを利用する
  • 保育者や専門家と連携して子どもの心のケアや社会性の発達を支援する

【注意点】

  • 愛着障害はすぐに治るものではありません。愛着は育てるモノだからです。
  • 周りの助けを時には借りながら、ゆっくりと自分に向き合いながら治療していく必要があります。
  • 自分の状態変化を正確に把握することで、治療に前向きに取り組むことができます。

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