不登校問題決定版5

課題の分離

私たち夫婦は娘の不登校問題について話し合うために、毎日のように家の外に出て会議を開きました。車を運転しながら話し合うとヒートアップした時に危ないので、そのうち近所のガストに落ち着きました。ポテトだけで粘れるからです。””ガスト会議””と呼ぶようになりました。話し合いのGOALを定めました。話し合っているうちに目的を見失い原因追及し始めて喧嘩になってしまうことが毎回だったからです。原因など追究したところで、機械の故障と違い問題解決に至りません。心の問題は、コンピュータプログラムの問題と同様で有機的に複雑に絡み合っていて、原因を明確には特定できないものです。コンピュータプログラムの問題は万が一原因特定できても原因を取り除くのは不可能に近く、億に一つ取り除けても解決には至らない事が殆んど、下手をするとデバッグによる予測不能な副作用が出てもっと大問題が生まれる可能性が高いものです。心の問題は、機械の故障よりコンピュータプログラムの問題に近いモノなのは明らかでしょう。原因追及など時間の無駄。百害あって一利なしと判断しました。そんなわけで原因追及を捨てて替わりに目的設定GOAL設定をしました。「娘が継続的に完全登校出来る。」をGOALに設定し、毎回まずノートにそう書いてから””GOAL実現のための手段””についての話し合いを始めるようにしました。

私たち夫婦は、それぞれ独自に不登校問題について色々勉強し、そこから得た色んな知見をお互いに持ち寄って話し合いました。夫婦とはいえ別人格です。どの理論が腑に落ちるかもどれが実践出来るかも違うと思ったのです。別々に持ち寄ってすり合わせるのが現実的だと考えました。そんな中有力な手段として浮上してきたのがアドラー心理学の実践における第一段階である””課題の分離””でした。

不登校問題において、親と子どもの課題を分離することは非常に重要と考えます。以下のステップでそのプロセスを説明します。

1. 課題の認識:

  • まず、子どもが抱えている課題(例えば、学校に行けない理由や心理的な問題)と、親が抱えている課題(例えば、子どもの不登校に対する不安やストレス)を明確にします。

2. 境界の設定:

  • 親は子どもの問題を自分の問題として抱え込まないようにします。子どもが不登校であることは親の責任ではなく、子ども自身の課題であることを理解することが重要です。

3. コミュニケーションの改善:

  • 家族内でオープンなコミュニケーションを促進します。子どもが感じていることや考えていることを自由に話せる環境を作ることで、問題の本質を理解しやすくなります。

4. 自己責任の意識:

  • 子どもが自分の感情や行動に対して責任を持つことを促します。親は子どもが自分で問題を解決する力を育むために、過度に介入しないように心がけます。

5. 専門家の支援:

  • 必要に応じて、カウンセリングや心理的支援を受けることも考慮します。専門家の助けを借りることで、子どもが抱える問題をより効果的に解決する手助けになります。

まとめ

不登校問題において、親と子どもの課題を分離することは、家族全体の健康を保つために不可欠です。各自が自分の課題に向き合い、健全な境界を設定することで、より良い関係を築き、子どもが学校に戻るためのサポートを行うことができます。課題の分離はアドラー心理学のはじめの一歩です。とはいえ私たち夫婦にとっては想像を絶する覚悟が必要でした。正直依存共依存家族そのものだった私たち夫婦から見て、課題の分離はあたかも自分で自分の腕を切り落とすようなものだったのです。


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